とても可愛い動物を見てちょっかい出したくなったり、ちょっといじめたくなってしまったりといったようにサディスティックな感情になってしまう・・・
ついそんな事を思うものだから罪悪感に駆られてしまう・・・。
この感情はあなただけではありません。
人は多かれ少なかれこの、可愛すぎる何かを虐めてしまいたくなる感情があるのです。これをキュートアグレッションと言います。
キュートは可愛い、アグレッションは侵略や攻勢、襲来などという意味を持ちます。
似たような言葉に「かわいさ余って憎さ100倍」という諺がありますがこれとはやや異なります。
キュートアグレッションを起こす人はサイコパスなのか?
可愛い動物を見ると虐めたくなってしまうんだ・・・こんな事を言うと「お前、サイコパスだな」「ヒドイ人だね」などなど冷酷な人呼ばわりされますがキュートアグレッションは何もサイコパスでは無くとも、普通の人でも全然起こりえます。
それはキュートアグレッションが起こる仕組みを知れば理解できます。
キュートアグレッションの仕組み
可愛い物、人、などの対象物を見る→脳内にドーパミンが過剰に分泌される→感情エネルギーの代替処置として対象物への攻撃性(衝動)が生じる。
ざっくりと流れを説明してみましたがこれだけでは理解できないと思うので具体的にどういうことなのかを説明します。
キュートアグレッションという衝動は何故起こるのか?それはある実験から分かった。
イェール大学の心理学者2名が109名に対して実験を行った。
実験内容
子犬(可愛い動物)、面白い犬(車の窓から顔を出した犬)、成犬(普通の動物)
被験者109名にこれらの動物の画像を見せる。
そして、可愛らしさ、面白さ、自己抑制度合いを評価して頂き、それらの感情に合わせて気泡緩衝材(プチプチ)を潰してもらった結果、可愛い動物の画像を見た際に最もプチプチが潰された。
オーストラリアのサザンクロス大学認知神経学者アナブルックス曰く、脳内のドーパミンが過剰分泌され、このドーパミンとやらは攻撃性を高めるので、ドーパミン回路混線が生じた結果、攻撃的な衝動に繋がるとのこと。
溢れんばかりのドーパミンが脳内回路で行き場を無くし混線してしまう結果起こる反応がキュートアグレッションだというわけです。
これは人間に見られる一種の防衛本能の一つらしく、嬉しい時に涙が出たり、悲しい時に何故か笑ってしまったりといったように感情代替処理機能・感情調整機能の一つだと言われている。
赤ちゃんがキュートアグレッションの対象となっている別の実験では、赤ん坊の画像を、18〜40歳の54名の被験者に見せたところ、赤ん坊の画像に対してポジティブな反応を見せた者は同時にその赤ん坊の頬をつねりたい等の衝動も生じていたのだそう。
非常に可愛い赤ちゃん、あまり可愛くない赤ちゃん、非常に可愛い動物の赤ちゃん、あまり可愛くない動物の赤ちゃん
各々を見せたところ、非常に可愛い動物の赤ちゃんに対してキュートアグレッション衝動が起こることが分かったそうです。
怖いですよね、キュートアグレッションって。対象物を傷付けてやろうだとか殺傷してしまおうなどとは微塵も思わないけどつい攻撃的になってしまい、対象物を攻撃してしまうという衝動なわけですから誤って怪我させてしまったり、大事に至ってしまう危険性さえ秘めていると言えます。キュートアグレッションは誰にでも起こりうるという事実を知っておけばそのようなことを未然に防ぐ対策になるでしょう。
キュートアグレッションでペットや子供を傷付けたり、DVをしてしまって罪悪感に苛まれているという方へ
危害を加えるつもりは1ミリも無いのだがキュートアグレッションが発動したせいでドメスティックバイオレンスや児童虐待や動物虐待などと、結果的に対象物を傷付けてしまい、大変な罪悪感を感じているという、妻持ちの夫、子持ちの主婦やペットの飼い主は結構居るものです。
しかし、起こってしまった事は仕方がありません。まぁ、仕方が無いという言葉で片付けようとは思いませんが今後同じような過ちは犯さないと誓えば大丈夫。
キュートアグレッションの対策&まとめ
キュートアグレッションは人間誰にでも起こりうるという事実を知り、周囲に伝えてあげれば被害者や被害物は最小限に抑えられるでしょう。
キュートアグレッションが発動したことで結果的に危害を加えてしまった。これにより罪悪感に苛まれて反省をすることは大事ですがそれ以上に大事なのはキュートアグレッションを知らない人にキュートアグレッションという概念を一人でも多くの人へ認知させることです。
キュートアグレッションが認知されれば発動前にその気持ちを抑えることができるのでキュートアグレッションの予防が可能となるからです。
子供やペットなどの弱い命を守る為にも社会の人々がキュートアグレッションを知ることが一番の対策方法なのです。